アイリー動物病院 院内

アイリーな日々

小さな存在・大きな脅威~ノミ編~

ペットのノミについて

いよいよ本格的に春の気候になってきました。
今年は3月からの3か月予報も平年より気温が高めという予報が出ており、ノミ・マダニも既に動きを活発化させています。

今月に入り、早々にノミ・マダニ駆除薬をお持ちいただく方が多く、飼主の皆様の意識の高さを感じております。

中には、「うちはほとんど外に出ないから予防しなくていいわ」とか
「獣医師に言われるがままに毎年なんとなくやってるけど」という方もいらっしゃると思いますが、
ノミ・マダニの何がそんなに怖いのか!?
ぜひご理解いただいたうえで、愛犬猫の為にも「予防」の選択をしていただきたいと考えています。

今日はまずノミについてのお話です。

犬や猫につくノミ
Merial Limitedから引用

ノミがつくとペットはどうなる?

ノミに刺されると激しいかゆみや精神的ストレスを受けます。
また、ノミに頻繁に刺されると、ノミアレルギー性皮膚炎になる可能性もあります。かゆみ・湿疹・脱毛などが主な症状で、一度このアレルギー状態になると、その後は少数のノミ寄生でも皮膚炎に悩まされることになります。

また、ノミが媒介して瓜実条虫(サナダムシ)が寄生する可能性もあります。条虫の卵を宿したノミを、さらに犬猫が食べてしまうことで寄生し、下痢や嘔吐の原因になります。
この条虫は体長50㎝以上になることもあります。

人間への影響は?

ノミは犬や猫だけでなく、人間の健康まで脅かす危険があります。
ノミに刺されることで起こるノミ刺咬症(皮膚炎)は、激しいかゆみがおこり、 患部をかくことで細菌感染し、ひどい場合はアレルギーになって水ぶくれのような状態になります。

菌に感染した猫に人間が引っかかれたり、噛まれたりすると、その部位が化膿したり、リンパ節が腫れ、発熱、頭痛などの症状が現れる猫ひっかき病になる可能性もあります。
これはノミが媒介して猫から猫へとうつす感染症です。

ノミの生態

目に見えているノミ(成虫)は、実はたったの5%、あとの95%は卵・幼虫・さなぎの状態で周囲に隠れています。
ノミは犬猫の体に寄生後、24~48時間で産卵→幼虫→さなぎ→成虫→産卵…というライフサイクルを繰り返します。この活動が気温13℃以上になると活発化するのです。

卵が成虫になるまでのスピードは春と秋は通常3~4週間、ピークシーズンの梅雨から夏は最短12-14日と、驚異的なスピードで、数を増やしていきます

室内飼いだから心配ない!?

その考えは危険です。近所やお庭を少し歩かせただけでも、ノミは寄生する可能性がありますし、人間が外から持ち込んでいることもあります。
また、室温が冬でも暖房で一定に保たれている日本の住宅環境では、ノミは繁殖と寄生を繰り返すことができ、ノミにとって、日本の家は1年中天国のような居心地です。
正直「ゼロ状態」にするのは無理です!!
ペットや人間が1匹でも外から持ち込めば、優れた繁殖能力でどんどん数を増やしていきます。布団に、ソファに、カーペットに彼らは潜んでいます。

ノミの被害を防ぐには

未成熟期のノミを根絶するためにはノミのライフサイクルを断ち切ることと、新たに侵入してくるノミに備えて、定期的な予防をすることが必要です。
少しでも彼らが住みにくい環境や繁殖しにくい環境を作ることと、「周りには彼らが必ずいる」という前提で事前予防をすることが重要です。

  1. 部屋をキレイに保つ・こまめな清掃
  2. こまめなブラッシングで吸血前のノミや卵や糞を落とす
  3. お薬で管理・事前予防の意識

ノミ駆除薬の種類

ワンちゃんネコちゃん共に、スポットタイプや食べるタイプなど複数選択肢があるので、その子に合うお薬がお選びいただけます。
一番人気はお肉タイプ!!
スポットや錠剤が苦手・こすってしまう・よくシャンプーをする・飼主様がよく抱っこしたり一緒に寝たりする子におススメです。何より、お薬というより美味しいおやつ感覚で予防できるところが飼主様に支持されるポイントです。

ノミは体長1~3㎜と、目に見えるか見えないかの小さな存在故になかなか予防に対してピンとこない方もいらっしゃると思いますが、彼らの生態を知ると、その存在が大きな脅威であることに気付かされます。

次回はマダニについてお話します。

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